3割特例が使えない8つのケース
個人事業者であっても3割特例を適用できない課税期間が8つあります。基準期間の課税売上高が1千万円超、調整対象固定資産、高額特定資産、課税期間の短縮など。国税庁Q&A 問115-2 の全類型を条文番号つきで整理しました。
国外事業者が恒久的施設を有しない場合
- 3割特例の適用を受けようとする課税期間の初日において恒久的施設を有しない国外事業者である課税期間
(28年改正法附則51の3①)
過去の売上が一定金額以上ある場合
- 基準期間の課税売上高が1千万円を超える課税期間
(消法9①) - 特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例により事業者免税点制度の適用が制限される課税期間
(消法9の2①) - 相続があった場合の納税義務の免除の特例により事業者免税点制度の適用が制限される課税期間
(消法10、11、12)相続のあった課税期間でも、適格請求書発行事業者の登録が相続日以前であり、他の事由による制限がなければ3割特例を受けられる(28年改正法附則51の3①)。
高額な資産を仕入れた場合
- 「課税選択届出書」を提出して課税事業者となった後2年以内に一般課税で調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合において、「消費税課税事業者選択不適用届出書」の提出ができないことにより事業者免税点制度の適用が制限される課税期間
(消法9⑦)調整対象固定資産=一の取引単位につき課税仕入れ等に係る支払対価の額(税抜き)が100万円以上の棚卸資産以外の資産(消法2①十六、消令5)。なお免税事業者に係る登録の経過措置(28年改正法附則44④)で登録した者は「課税選択届出書」を出していないため該当しない。
- 一般課税で高額特定資産の仕入れ等を行った場合(棚卸資産の調整の適用を受けた場合)において事業者免税点制度の適用が制限される課税期間
(消法12の4①②④)高額特定資産=一の取引単位につき課税仕入れ等に係る支払対価の額(税抜き)が1千万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産(消法12の4①、消令25の5①)。
- 一般課税で金又は白金の地金等を仕入れた金額の合計額(税抜き)が200万円以上である場合において事業者免税点制度の適用が制限される課税期間
(消法12の4③④、消令25の5④)
課税期間を短縮している場合
- 課税期間の特例の適用を受ける課税期間
(消法19)「消費税課税期間特例選択届出書」により課税期間を一月又は三月に短縮している課税期間。特例の適用(不適用)により一の課税期間とみなされる課税期間も含む。
一覧
| # | 区分 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 1 | 国外事業者が恒久的施設を有しない場合 | 3割特例の適用を受けようとする課税期間の初日において恒久的施設を有しない国外事業者である課税期間 | 28年改正法附則51の3① |
| 2 | 過去の売上が一定金額以上ある場合 | 基準期間の課税売上高が1千万円を超える課税期間 | 消法9① |
| 3 | 過去の売上が一定金額以上ある場合 | 特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例により事業者免税点制度の適用が制限される課税期間 | 消法9の2① |
| 4 | 過去の売上が一定金額以上ある場合 | 相続があった場合の納税義務の免除の特例により事業者免税点制度の適用が制限される課税期間 | 消法10、11、12 |
| 5 | 高額な資産を仕入れた場合 | 「課税選択届出書」を提出して課税事業者となった後2年以内に一般課税で調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合において、「消費税課税事業者選択不適用届出書」の提出ができないことにより事業者免税点制度の適用が制限される課税期間 | 消法9⑦ |
| 6 | 高額な資産を仕入れた場合 | 一般課税で高額特定資産の仕入れ等を行った場合(棚卸資産の調整の適用を受けた場合)において事業者免税点制度の適用が制限される課税期間 | 消法12の4①②④ |
| 7 | 高額な資産を仕入れた場合 | 一般課税で金又は白金の地金等を仕入れた金額の合計額(税抜き)が200万円以上である場合において事業者免税点制度の適用が制限される課税期間 | 消法12の4③④、消令25の5④ |
| 8 | 課税期間を短縮している場合 | 課税期間の特例の適用を受ける課税期間 | 消法19 |
このうち調整対象固定資産・高額特定資産・金地金に関するものは判定が細かく、 自己判断が難しい領域です。該当しそうな場合は税理士にご確認ください。
よくある質問
前々年の売上が1千万円を超えていました。
基準期間(個人は前々年)の課税売上高が1千万円を超える課税期間は3割特例を使えません。その場合は一般課税か簡易課税になります。
100万円のパソコンを買いました。影響しますか。
「課税選択届出書」を提出して課税事業者になった後2年以内に、一般課税で調整対象固定資産(税抜100万円以上の棚卸資産以外の資産)を取得した場合は、事業者免税点制度の適用が制限され、3割特例も使えなくなります。ただし免税事業者に係る登録の経過措置で登録した方は「課税選択届出書」を出していないため、これには該当しません。
相続があった年はどうなりますか。
相続による納税義務免除の特例で事業者免税点制度の適用が制限される課税期間は対象外です。ただし、適格請求書発行事業者の登録が相続日以前で、他の事由による制限がなければ、3割特例を受けられます。
関連ページ
出典
本ページの数値はすべて以下の一次資料から取っています。リンクは該当ページに直接飛びます。
- 国税庁「インボイス制度に関するQ&A 問115-2(3割特例の適用ができない課税期間)【令和8年4月追加】」
当サイト確認日:2026-09-15 - 国税庁「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」p.1 (2026-04 公表・2026-05 改訂)
該当箇所:1 小規模個人事業者に係る税額控除に関する経過措置(3割特例)/簡易課税制度選択届出書の提出期限の特例の見直し
当サイト確認日:2026-09-15
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法令基準日:2026年9月15日 ― 本ページが参照した官公庁資料を当サイトが最後に確認した日です。 以後の法令改正・資料改訂は反映されていない可能性があります。