請求書と返還インボイスは1枚にまとめられるか
まとめられます。方法は2つあり、差引後の金額だけを書くやり方には「継続して」という条件が付きます。なお値引きが税込1万円未満なら、そもそも返還インボイスの交付義務がありません。
その前に:値引きが税込1万円未満なら、この話は起きません。
返還インボイスの交付義務そのものが免除されるためです。
振込手数料を差し引かれるようなケースは通常これに当たります
(返還インボイスの1万円)。
このページが関係するのは、販売奨励金やまとまった値引きなど1万円以上の場合です。
2つの方法
方法1:それぞれの記載事項を並べて書く
適格請求書と適格返還請求書それぞれに必要な記載事項を記載して1枚の書類で交付することも可能 国税庁 インボイスQ&A 問62[1]
当月販売した商品について適格請求書として必要な事項を記載するとともに、前月分の値引き等について適格返還請求書として必要な事項を記載すれば、1枚の請求書を交付することで差し支えない。
方法2:差引後の金額だけを書く継続適用が条件
継続して、課税資産の譲渡等の対価の額から売上げに係る対価の返還等の金額を控除した金額及びその金額に基づき計算した消費税額等を税率ごとに請求書等に記載する 国税庁 インボイスQ&A 問62[1]
これで、適格請求書に記載すべき「課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額」「税率ごとに区分した消費税額等」と、適格返還請求書に記載すべき「売上げに係る対価の返還等の…合計した金額」「…消費税額等」の記載を満たすこともできる(基通1-8-20)。
どちらを選ぶか
| それぞれ並べて書く | 差引後の金額だけ書く | |
|---|---|---|
| 条件 | なし | 継続して行うこと |
| 書類の見た目 | 当月の売上と前月の値引きが両方並ぶ | 差し引いた後の金額だけが載る |
| 端数処理 | それぞれの金額で処理 | 税率ごとに1回 |
| 向いている場面 | 値引きが不定期に発生する | 毎月同じ形で相殺している |
「継続して」が条件になっているのは、差引後の金額だけを書く方法です。
その月の都合でやり方を切り替えることは想定されていません。
どちらかに決めて続けてください。
端数処理の注記
差引後の金額に基づく消費税額等の計算については、税率ごとに1回の端数処理となる[1]。
売上と値引きをそれぞれ処理した場合と、差し引いてから処理した場合とで、 1円単位の差が出ることがあります。どちらも認められている方法なので、 一方に揃えておけば問題にはなりません。
このページは国税庁の問答の整理です。実際の請求書の様式は取引の形によって変わります。
継続適用の判断や、複数税率が混在する場合の処理は、税理士にご確認ください。
よくある質問
請求書と返還インボイスを別々に出さないといけませんか。
1枚にまとめられます。国税庁は「適格請求書と適格返還請求書それぞれに必要な記載事項を記載して1枚の書類で交付することも可能」としています。
差引後の金額だけ書けばよいですか。
その方法も認められていますが、「継続して」という条件が付きます。その都度やり方を変えることは想定されていません。並べて書く方法には、この条件はありません。
端数処理はどうなりますか。
差引後の金額だけを書く方法では「税率ごとに1回の端数処理」になります。それぞれを並べて書く場合と結果が一致しないことがあります。
値引きが1万円未満のときもまとめる必要がありますか。
そもそも交付義務がありません。税込1万円未満の値引き・返品には返還インボイスの交付義務が免除されるので、この論点自体が起きません。振込手数料を差し引かれるようなケースはこれに当たります。
関連ページ
出典
本ページの数値はすべて以下の一次資料から取っています。リンクは該当ページに直接飛びます。
- 国税庁「インボイスQ&A Ⅲ-4 適格請求書の記載事項(問62 適格請求書と適格返還請求書を一の書類で交付する場合 ほか)」
当サイト確認日:2026-10-29 - 国税庁「インボイスQ&A Ⅲ-1 総論(適格返還請求書の交付義務免除・問28 ほか)」
当サイト確認日:2026-09-16
本サイトは一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談ではありません。適用の可否は必ず国税庁の一次資料および税理士にご確認ください。
法令基準日:2026年9月16日 ― 本ページが参照した官公庁資料を当サイトが最後に確認した日です。 以後の法令改正・資料改訂は反映されていない可能性があります。