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取引先が免税事業者のとき、値下げを求めてよいか

免税事業者に対して「課税事業者にならなければ取引価格を引き下げる」と一方的に通告することは、独占禁止法上または下請法上問題となるおそれがあります。公正取引委員会が実際に注意した業態も公表されています。

公正取引委員会の考え方

一方的な通告は
問題となるおそれ

「課税事業者にならなければ取引価格を引き下げる、応じなければ取引を打ち切る」と 一方的に通告することは、独占禁止法上または下請法上問題となるおそれがあるとされています[2]

公表されている考え方

発注事業者(課税事業者)が、免税事業者に対し、「課税事業者にならなければ、取引価格を引き下げるとか、それにも応じなければ取引を打ち切ることにするなどと一方的に通告することは、独占禁止法上又は下請法上、問題となるおそれがあります」 公正取引委員会「インボイス制度の実施に関連した注意事例について」(令和5年5月)が引用する「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」Q7の6[2]

実際に注意が行われた事例

公正取引委員会は、経過措置により一定の範囲で仕入税額控除が認められているにもかかわらず、 免税事業者を選択する取引先に対して消費税相当額を取引価格から引き下げると文書で一方的に通告した事例について、 独占禁止法違反行為の未然防止の観点から注意を行ったと公表しています[2]

注意した事業者の業態および取引の相手方(公正取引委員会 公表)
注意した事業者の業態取引の相手方
イラスト制作事業者イラストレーター
農産物加工品製造販売事業者農家
ハンドメイドショップ運営事業者ハンドメイド作家
人材派遣業者翻訳者・通訳者
電子漫画配信取次サービス業者漫画作家

相手方はいずれも個人の作り手や専門職です。 発注側が小規模であっても、取引関係において優越した地位にあれば対象になり得ます。

2つの法律の切り分け

立場根拠
取引上優越した地位にある事業者 独占禁止法上問題となるおそれ
下請法上の親事業者 下請法上問題となるおそれ
「経過措置があるにもかかわらず」が繰り返し書かれています。 免税事業者からの課税仕入れでも、2026年10月1日以後は70%を控除できます。 控除できる部分があるのに消費税相当額の全額を引き下げると通告する、という点が問題視されています。 自社の控除割合は決算月別 早見表で確認できます。

この資料を読むときの注意

公正取引委員会の文書は令和5年5月のもので、注記では経過措置を 「3年間は8割、その後の3年間は5割」と説明しています。 これは令和8年度税制改正より前の日程です。 現在の割合は 80% → 70% → 50% → 30% → 0% で、 適用期限も2年延長されています[1]

独占禁止法・下請法上の考え方そのものは改正の影響を受けません。 むしろ経過措置が延長された分、「控除できるにもかかわらず」という前提は今後も続きます。

このページは公表資料の紹介であり、個別の取引が違反にあたるかどうかの判断ではありません。 実際の取引条件の見直しを検討している場合は、税理士や弁護士にご相談ください。

よくある質問

免税事業者との取引価格について、話し合うこと自体が禁止されているのですか。
公正取引委員会が問題としているのは「一方的に通告」する行為です。注意事例でも、文書で一方的に伝えた行為が取り上げられています。ただし具体的にどこまでが許されるかは個別の事情によります。金額が大きい場合や継続的な取引の場合は、税理士や弁護士にご相談ください。
経過措置があることは関係しますか。
関係します。公正取引委員会の文書は「経過措置により一定の範囲で仕入税額控除が認められているにもかかわらず」という前提を繰り返し書いています。つまり、控除できる部分があるのに消費税相当額の全額を引き下げると通告する点が問題視されています。
下請法と独占禁止法のどちらが適用されますか。
取引上優越した地位にある事業者の行為は独占禁止法上、下請法上の親事業者の行為は下請法上問題となるおそれがあるとされています。自社がどちらに当たるかは資本金や取引内容で決まります。

関連ページ

出典

本ページの数値はすべて以下の一次資料から取っています。リンクは該当ページに直接飛びます。

  1. 国税庁「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」p.2 (2026-04 公表・2026-05 改訂)
    該当箇所:2 適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置の改正(7・5・3割控除)/その他の改正
    当サイト確認日:2026-09-15
  2. 公正取引委員会「インボイス制度の実施に関連した注意事例について」 (2023-05 公表)
    当サイト確認日:2026-09-15

本サイトは一般的な情報提供を目的としており、個別の税務相談ではありません。適用の可否は必ず国税庁の一次資料および税理士にご確認ください。

法令基準日:2026年9月15日 ― 本ページが参照した官公庁資料を当サイトが最後に確認した日です。 以後の法令改正・資料改訂は反映されていない可能性があります。